映画「ゴースト・シップ」

 を見ました。
 ストーリーは……とあるタグボートのクルー達に40年前に消息を立った船の回収依頼が来る。引き受けたものの、その船に残っていた40年前には無かったデジタル時計や、飲みかけのブランデー、そして真新しい死体。そう、この船は幽霊船。呪われた客船だった……というもの。


 見る前に「最初の10分間が見所。後は詰まらない」という評判を聞いていたのです。しかしそんなことはありませんでした。むしろ最初の10分間のほうがつまらなかった。「映画史上に稀なほど見事な残虐シーン」……と言われてるそうですが、そんなにグロいとは思えなかった。美しくもないし。
 これに比べたら「ナイトフライヤー」のグロシーンのほうが私好みです。
 映画としては少々パンチ力に欠けていたのは事実です。ストーリーや謎はあるようで実は無いし、映像的にも恐怖感をそそるものが無い。それにこの映画には幽霊の少女が出てくるんですが、その少女が喋っちゃうのが致命的でした。意思疎通をせずにもどかしさを演出してくれたほうが、古典的で私好みだったんだけどなー。暗さも失せて、一気に明るい雰囲気になっちゃったし。
 おまけに脚本的に、楽なほうへ楽なほうへと流れていくのが残念でした。この物語は「幽霊船」それが基本でいいと思うのですが、全てをそれに頼り切っちゃうと、観客に対して演出していた「期待」を裏切る結果となってしまうのです。せっかくの「謎」に意味がなくなるどころか、途中経過にも意味がなくなるんですよね。低評価なのはおそらくそれが原因じゃないのでしょうか。
 グロを目当てで見た人も、ストーリーを目当てにしてた人も、両方とも肩透かし食らったんだと思います。だって中途半端だもん。
 ただこの会社は古典的なホラー題材をガンガン取り扱ってくれるし、演出的にも古典的なものを現代的に見せてくれて、個人的に好きなので、これからもがんばって欲しいものです。
 点数つけるなら、その部分も加味して70点。「良」。
 あ、それと。
 ラストシーンは「お約束」として受け取るのか、「矛盾」としてみるか、それとも……?
 私はオカルトっぽく、また宗教的で良かったと思ってます。映画の中でもたびたびそのことには触れられていたし。まあ、お約束には違いないけれど。