「オーデュポンの祈り」(著者:伊坂幸太郎)
読了。いや〜面白かった! 案の定ハマってしまって、昨日の続きから一気に読み終わってしまいました。
あらすじは……いまさら書かなくてもいいや。読んだことの無い人は先日までの日記から推測してください(笑
お伽の国の話に散りばめられたお伽のピース。それが楽しませると同時に結実して、最後に現実すら壊してハッピーエンドに結びつくのは読んでいて非常に面白く、清清しく、なんとも言いようが無い娯楽でした。ミステリーというより、ほんと、お伽話です。喜怒哀楽を交えて違う世界を漂い歩く楽しさを、久しぶりに味わわせてくれた作品です。
剣や魔法を出して「異世界」「ファンタジー」なんて言っているコピーライター達に見習ってもらいたい。
カケテイルモノも、振り返ればいくつもヒントは出ている。そして納得のできる答え。これにも参りました。最後のハッピーエンド(島を出た後の主人公は知らないが)に向かっていく流れも、はじめニヤニヤ、後は心底の幸福感を感じました。嗚呼、自分はこの世界と主人公にシンクロしてしまっていたんだな、と。いや、マジデなんでこんなに幸福感が湧き出てきたんだろう。自分でも不思議だ。
とにかくグッド。
子供の頃に読んだ「冒険島」や「不思議の国のアリス」といった物語を忘れられないような人には、波長が合うんじゃないかな。オススメしたい作品でした。
ところでこの作者、伊坂幸太郎。私は以前に「陽気なギャングが世界を回す」を読んでいたのですが、そちらはそれほどには波長が合わなかったのですね。確かに隙の無い構成ではあるが、強烈な個性は感じなかった。上中下で言うなら、中の上くらいの評価でした。
ですが、これを読んでまた他の作品も読んでみたいと思いました。やはり作者の「味」というのは、デビュー作にこそ濃く表れているのかも知れないな、と思います。