ハサミ男

 読書中。とは言ってもまだ70ページくらいだよ!
 この本、映画化されたときにあるレビューだか感想だかで(雑誌だったかもしれない)「映像化不可能と思われる……云々」ってなことが書かれていたんですよね。そこから推測すると、おそらく何らかの叙述トリックが使われているんだろう、と考えが至るのはきわめて自然なこと。特に「映像的に困難な種類の」。はっきり言ってそのつもりで読んでます。
 とりあえずここまで読んで思ったのは、おそらく主人公は女性なんだろうなぁ、ということ。女子高生に対する主人公の視点を見ていたら、どうしてもそうとしか思えなくなってしまった。仕事場でかけられる言葉などもね。でもそう思いながら読んでいたら殺鼠剤を飲んだときの描写があまりにも女性を連想させ過ぎる描写だったので、ひょっとしたら裏をかかれて男かも、と自信を失っていたり。またこの主人公が本当に「ハサミ男」なのかどうかもわからない。ここんところは作者さん、非常に上手いと思う。一人称で他者との接点無しに主人公の独白のみでここまでページが進んでいるのに、肝心な主人公像が明確にさせない。常に疑問を抱かせて読者に興味を持続させている。おそらくストーリーが徐々に進むにつれて、主人公像が変わって行って読者に眩暈を起こさせる、そんな話じゃないかな、と期待したり。
 でもオーデュボンの祈りといい、最近話題になる小説は容易に私の予想を超えてくれるので、なんだかワクワクです。


 読み終わるのは、兵庫への電車の中になりそう。