うちは田舎だから

 私の町は田んぼが多く人が少なく、夜まで営業している店ももちろんまばらで8時を過ぎればもう真っ暗なわけです。
 ぽつんぽつんと外灯は立っているんですが住宅街の周辺にしかなく、本来なら防犯上必要となるような「危険地域」には少ないわけです。立っていてもオレンジ色の「防犯灯」で、光量が少なくてむしろアヤシさを演出してしまう始末。
 外灯の数を増やしすことはもちろん、防犯灯なんてやめて全部外灯にしちまえばいいのに…なんて考えていたんですが、先日面白い話を聞きました。防犯灯も外灯も立てるとすれば行政サービス、つまりは町役場のお仕事となるんですが、迂闊に立てるとクレームが来るんだそうです。
 曰く、「稲の育ちが悪くなる」。
 夜に明るくしすぎると稲が夜を夜だと認識できなくなって、成長に影響すると農家の方々が主張するんですね。確かに言われてみればそんな気はします。ちょっとぐぐってみただけでは科学的根拠は見つからなかったんですが、同じ主張はいくつか見ることができました。
 なんせ農家の方々は生活がかかっていますから、そうなると行政側もホイホイ立てるわけには行かなくなる。
 でも一方で「夜道が危ない」「変質者・犯罪者が出る」といった主張もこれまた当然にあるわけです。生活圏と田園とが完全に切り離されているんならいいんでしょうけれど、田舎ゆえにそんなはずあるわけ無い。
 う〜ん、こういう問題で田舎は田舎のままに放置されるという可能性は考えたことがありませんでした。遅くまで開く店が増えれば増えるほど、農家の方々は困るわけだ。考えてみれば数少ないコンビニも、田から少し離れた場所にある(人口が少ない田舎ですから、住宅街にコンビニを置いても収益が見込めなくて国道沿いにばかりあるのに関わらず、わざわざ公共施設の横など田に隣接しない場所に立てられてる)。
 なるほどなぁ。新旧住民・地域住民の対立があったりするのはこういうところにも起因しているのか、とちょっと納得。対立そのものに関わり合いたくは無いけれど、勉強にはなりました。