「死にぞこないの青」(著者:乙一)

 読了。
 何というか、ずいぶんと辛い物語でした。私こういう主人公はダメなのですよ。いいたいことが言えず、うじうじといじめられるというのは。
 ただこれは主人公が嫌いだというのではなく、その主人公の性格によってどんどんと環境が悪化していき、悪循環・袋小路に入り込んでしまうのが、見てて辛いのです。
 ただその辛さを感じてしまうというのは、イコール、描写が上手いということなんでしょうけれど。
 最後にはちゃんと納得行く形で終わってくれるのでよいのですが……あまりすっきりはできなかったなぁ。
 それでも、救われる余地がある。好きです。


 でも。
 これ、ひとつの小説として売り出すのはちょっときついな、と思いました。だってストーリーに起伏が足りない。
 私自身はこの手の話にしては珍しく好きになれましたが、商品としてはあまり売れ行きがよくないんじゃなかろうか……と余計な心配をしてしまったり。ははははは。