ひぐらしのなく頃に

 考えたのですが、莉花が予言していたのは「殺される人」。そのメンバーは6人なのです。
 工事監督。沙都子の両親。莉花の両親。沙都子の叔母。
 必ずしも、祟り=「死ぬ人と鬼隠しにあう人」を予言していたわけではない。

 そう考えると鬼隠しというのは単に偶然が重なっただけと考えることも出来るのですね。最初の事件の犯人はこっそり殺されているかもしれない(その理由は死体の右腕を隠したままにしていたいからかもしれない)。沙都子の両親は本当にただ単に母親の遺体が見つからないだけかもしれない。
 そして莉花の母親から、「鬼隠し」を利用しようと考え始めたのかもしれない。2回偶然が続いた結果、そういった土壌が出来上がった、と。

 もちろん、3回目も偶然かもしれませんが、古手父の死が「病死」であるから、偶然とは考えにくいのですよね。それが本人の意思にせよ誰かの意思にせよ、故意じゃないと母親の死体(失踪かも?)は隠せない。だから3回目はガチで「鬼隠し」の演出だと思うのです(繰り返しますが、本人の意思(失踪含む)かもしれない)。

 では4回目の悟史は?

 この「鬼隠し」だけ、祭り当日の出来事ではないのですよ。そこがキーではないかと思います。
 この場合、問題は殺人を計画していた人間にとって、「鬼隠し」は予定に入っているのか否か。予定に入っているのならば、何らかの理由で「鬼隠し」を行うべき人間を隠すことが出来なかったということになります。候補者としては「縁者」から考えると鉄平・悟史・沙都子なわけですが、当日計画者の手の届かない場所にいたもの、或いはその手から逃れる行動をとれた可能性のあるものといえば……? ここからはかなり妄想を入れなければならなくなりそう。


 では逆に「鬼隠し」は全く予定に入っていなかったとすれば、後日悟史が「鬼隠し」にあった理由とはなんなのでしょうか?
 沙都子の誕生日に、ぬいぐるみを買っていた悟史。そして家に帰るまでに失踪。それまでの間に、主人公と同じように金属バットを持ち歩くようになっていた悟史。
 金属バットを持ち歩くようになっていた理由が、ファイターズの練習のためではなく、叔母を殺すためでもなく、主人公と同じように命の危険を感じていたからだと仮定すると……もしかしたら彼は叔母殺しについて何らかの真相を掴みかけていたのかもしれません。そして、興宮から家に帰るまでの間に、その掴みかけていたものを確信する「何か」に遭遇したのかもしれません。……本人が確信してなくても、周囲がそう判断したのかもしれませんが。

 その結果、殺されたか、逃げたのか。

 殺されたのなら話は簡単です。酷い話ですが、考察する上では楽になります。
 しかし逃げているとすれば、彼を匿う人間が必要になってきます。何せ、彼はぬいぐるみを買った直後で素寒貧になっているのですから、身を隠すことも遠くへ逃げることもできないからです。

 そして魅音やレナ、監督の使う「転校」の言葉(私が確認した中では、この3人だけが転校といいます)が意味を持ち始めます。
 圭一が「転校」という言葉を使ったとき、詩音が言葉を荒げたのは何故でしょうか? 誰が言ったのか気にしていたのは何故でしょうか?
 ひょっとしたら、匿っているのは詩音と園崎系組員で、本家園崎には内緒のにしていること。そして「悟史が生きている」とばれたら不味いので、「鬼隠し」という言葉を使わずに、まるで生きていることをほのめかすような「転校」という言葉に過剰に反応したのかもしれません。「悟史が生きてるって知っているのは誰なの!?」、或いは「黙っているように伝えてるのに、そう口走ったのは誰なの!?」と。

 正直、「転校」という言葉が含む意味は、まだ全然見当がつきませんけどね。もしかしたら、本当に沙都子を気遣って使っているだけかもしれませんし。

 それと、悟史はどこか他所の施設……例えば精神病患者の療養施設や、少年院……に「転校」したんじゃないか、と思うことも出来ますが、それだと警察などの公的捜査機関にとっては鬼隠しでもなんでもないので、可能性はまずないと考えてます。
 入江監督も「警察が知れべたけれど、行方がわからなかった」というようなことを言ってましたしね。



 あ、それともうひとつ。
 もし「鬼隠し」が計画者にとって殺人とセットで考えられていたのなら……の場合から派生する疑問ですが。
 5年目、莉花が殺される際の「鬼隠し候補者」は誰だったんでしょうね。
 縁者といえば、戸籍上の保護者の村長・公由か、それとも一緒に住んでいた沙都子か。
 村長だとすれば、連続怪死事件によって園崎以外の御三家が死に絶えることになります(あ、間違い。「絶え」はしないか)。また、沙都子だとすれば「祟殺し編」において沙都子が通常にはない行動をとった事実……例えば祭りに参加しなかった、警察にマークされていた……が意味を持ってくるかもしれません。
 この二つの考察を進めていくのも、面白いかもしれません。



 それとさらにもうひとつ。
 祟殺し編で、莉花の殺人が祭り当日に行われずに数日遅れて行われた理由も……何故なのでしょうか。
 意味があるのかないのか。
 これも考えてみたら、面白いかも。