「円環少女1 バベル再臨」(著者:長谷敏司)

 読了。いや〜、読み終わるのに時間がかかった! このタイプの小説で、300ページ読むのに4時間もかかるとは思わなんだ!
 時間がかかった理由の一つは、文体がとにかく読みにくかったことです。修辞を凝らした文章と言いたいところですが、これはそのレベルではなく単に飾り立て過ぎているだけです。もっとすんなり頭に入ってくる文章を心掛けないと、スピーディーな活劇は描けないと思う。
 ただまあ、その「じっくり読ませる」事を読者に強要する文章が、後半のこれでもかこれでもかと執拗に強調される悲劇性に、非常にマッチしていて大きな長所になっているのですけれど。でも……やっぱ読みにくいわ。
 しかも困ったことに、読みにくいくせに積み込みたがる癖があるみたいで、結構一文一文が大事なんですよね。所々にいかにも「伏線ですよ〜」とか「重要な内面描写ですよ〜」の要素がある上に、文章が飾る余りひねくれていて、うっかりすると意味を取り違えてしまいそうになる。よって、迂闊に読み飛ばせない。独自の魔法体系の設定も理解しなきゃならんしで、正直疲れるんですわ。
 おまけに何だかな……作者さん、自分に酔いすぎな点が多々あります。きっとこれがデビュー作なんだろうな、なんて思いながら後書きを読んでみたら、既に何作も出しているようでびっくりした。ううむ、これは文体に関しては「私好み」になってくれることは諦めなければならないか。残念。
 とまあ、不満を並べてみたのですが、実は面白い本でした。昨日の日記にも書いているように、構成や表現はあまり褒められたものではないと思うのですが、それを補うように描写を重ねていくあたり、作者さんが書きたい世界というのが強く伝わってきて、非常に好感度が高かったです。
 何より、後半……200ページあたりからの乱戦から異常なまでに盛り上がりましたね。前半アレほど性急にストリーを勧めたのは、この幻影城に入ってからがやりたかったんだろうな。もう、この後半だけで前半の欠点を帳消しにしてしまうほどの熱がありましたよ。ただまあ、その結果なんか生き残ってる人が多いのはちょっと納得いかないけれどな(笑
 本の題名に「①」なんて入っている点は、それを考えると大きくマイナス。だって、それだったらヒロインが死んだままになるはずが無いってバレバレじゃないですか。「円環少女」なんだしさ。そういや「円環少女」という題名にもう一つ不満を述べるなら、主人公が男ってのはどういうことだあああああ〜〜〜〜〜っ! なんか騙されたみたいで納得以下ねぇ。いや、メイゼルは可愛いんだけどね。
 メイゼルといえば挿絵はあるものの、私は「こどものじかん」のりんちゃんに脳内変換していましたよ。



 なんか何書いているかわからなくなってきた。



 とにかく、欠点が多い小説ですが、それ以上に面白かった本でした。読了後の満足感は高かったですよ! ゲームのFate/stay nightとかデモンベインとかが好きな人にはオススメです。
 でもかなり疲れたのも事実なので、続巻はしばらく時間を置いてから詠むことにします(笑