「柳生忍法帖(下)」(著者:山田風太郎)

 読了。いや〜、読み終わってみれば見事な娯楽活劇。時代劇です。
 活字から想起される映像も、ものの見事に時代劇。ラストに近付けば近付くほど、それが際立っていきます。特に最後、8人の美女に見送られて十兵衛が馬を駆けていくところはこれ以上ないくらい映画的。スクリーンの右下に「劇終」とでないのが不思議なくらいです。
 後半の逆転につぐ逆転というのは、今の感覚で見るとかなり無理があります。あまりにもご都合主義。でも書かれた時代と著者の年齢、そして時代的なコンセプトを考えると致し方ないことか。
 この下巻になると主人公が完璧に十兵衛になってしまい、むしろ女性達は邪魔者扱いになっているのが非常に残念でした。十兵衛のキャラクターは非常に好きなんですが。
 この十兵衛に関しては、完全に漫画よりも小説の方が上です。私好みでした。